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外部コンサル人材の比べ方と契約で確かめる9項目——大手ファーム・個人・人材型

外部コンサル人材の比べ方と契約で確かめる9項目——大手ファーム・個人・人材型

たとえば、基幹システムの刷新に合わせ、PMOと業務の整理を担う人を外から1〜2名入れることになりました。今回は、大手ファーム以外も比べたうえで稟議に書くよう求められています。前回は大手ファームに頼みました。月額は想定より高く、提案の場にいた上位者は月に数回の定例に顔を出すだけで、常駐したのは経験の浅いメンバーでした。契約が終わると手元には報告書とスライドが残り、課題管理表も会議の進め方も、受け取る人が決まらないまま止まりました。

外部コンサル人材の入れ方は、大手のコンサルティングファーム、個人の専門家との直接の契約、人材型に分けて比べられます。人材型とは、支援会社が自社の社員や登録している専門人材の中から役割に合う人を選び、会社として業務を受ける形を指します。書き手のmeherも外部人材を出す側ですが、選ばないほうがよい場合も、ほかの形と同列に並べます。

形による違いは、会社の規模や知名度より、何に払うか、来る人を誰が決めるか、抜けたら誰が埋めるかに、はっきり出ます。前回の不満も、たどればこの3か所のどこかに行き着きます。来た人への指示をどこに通すかにも線があり、この線は契約の形と来る人の立場で変わります。起案には第2章と第6章を、調達・法務との確認には第3章から第5章を、受け入れる部署には第4章の表をお使いください。

第1章 前回の不満は、契約のどこで決まっていたか

前回の発注を振り返る5つの問い

前回の発注で、次の5つが起きていなかったか、思い出してください。

  1. 見積の体制表に、役割ごとの稼働率が書かれていなかった
  2. 提案に出てきた人と実際に来た人が違い、事前の知らせもなかった
  3. 来ている人に、日々の作業を直接頼んでいた
  4. 人が替わったとき、引継ぎの期間を自社の負担で埋めた
  5. 終わったとき、手元に残ったのは成果物の欄にあった報告書だけだった

どれも、相手の会社の腕前より、契約と受け入れ方の形で決まる事柄です。1と2は見積と体制表の書き方、3は指示の通り道、4と5は交代と成果物の定めにかかわります。一つでもあったなら、会社を替えても、契約の形がそのままだと同じことが起きやすくなります。

不満はそれぞれ別の場所で決まる

高いという不満は、何に払っているかで決まります。金額が同じでも、払う先がチームの体制なのか、1人の稼働時間なのかで、受け取るものは変わります。

若手が来たという不満の出どころは、来る人の決まり方です。会社を通す形では、誰を出すかは原則として受注側が決め、発注側が言えるのは、契約に書いた役割と水準、稼働率に限られます。

何も残らないという不満は、抜けるときの扱いと成果物の定めから生まれます。課題管理表や会議の運営手順を成果物に書いていなければ、受け取れるのは報告書とスライドにとどまるでしょう。

第2章 大手ファーム・個人・人材型を4つの観点で比べる

4つの観点で並べると、次の表になります。派遣と、社内で埋める道も参考に入れました。稟議の比較欄に使うときは、検討しない行を消してください。

入れ方

費用の構造(何に払うか)

来る人の決まり方

立ち上がりを左右するもの

抜けるときの扱い

大手ファーム

チームの体制と、会社の方法論・品質管理に払う

ファームが体制表の役割に合わせて決める。協力会社や個人が加わるかは、体制表と再委託の条項で確かめる

ファーム側の人の手配にかかる日数と、提案・見積の手続き

ファームが後任を手配する。交代の条件と引継ぎ期間の費用は契約次第

個人と直接

本人の時間か成果に払う。探す・契約する・管理する手間は自社が持つ

自社で選ぶ

探す時間と、契約条件の取り決め

代わりは自社で探す。6か月以上の委託を終えるときは30日前までに予告

人材型

人の時間と、支援会社が担う人選・交代・管理に払う(担う範囲は見積で確かめる)

支援会社が体制表の役割に合わせて決める。来る人が社員か再委託の個人かで、発注側が関われる線が変わる

候補を出すまでの日数と、見積・契約の手続き

支援会社が後任を手配する。交代の条件と引継ぎ期間の費用は契約次第

派遣(参考)

派遣元との契約で決めた料金

派遣元が決める。派遣先は人を特定する行為をしないよう努める

派遣元の手配

派遣元が代わりを手配する。受入れの期間に制限がある(原則3年)

社内で埋める(参考)

人件費と、採用・育成にかかる時間

自社で決める

採用・異動にかかる時間

異動や退職で抜けるリスクを自社で持つ

費用の構造

大手ファームの見積では、来る人の稼働のほかに、上位者がどれだけ関わるのか、方法論や品質の確認を誰が担うのかが、金額のどこに入っているかを見ます。体制表に役割ごとの稼働率がなければ、提案の顔ぶれがどれだけ現場に来るのかは読めません。複数の領域にまたがる変革を体制ごと任せるなら、その対価には払う理由があります。ただし、提案と書面で終わる支援か、実行と定着まで入る支援かは、何に払うかとは別に見ます。その見極め方は伴走支援と従来型コンサルは何が違うのか——「提案止まり」で終わらせない、外部パートナーの見極め方に書きました。

人材型の見積で確かめたいのは、人選と交代、来る人の管理のうち、どこまでを支援会社が担うかです。会社としての管理が薄い相手だと、同じ月額でも個人と直接結ぶのと変わらなくなるので、担う範囲は見積の段階で書いてもらいます。

来る人の決まり方

会社を通して受け入れるなら、来る人が受注会社の社員か再委託の個人かを、候補が出る前に聞きます。人選に関われる幅と、来てからの指示の線が、それで変わるからです。再委託の個人なら、第5章の9項目の5の承諾を、契約の中か人ごとの書面で与える前提です。線は第4章で分けます。

立ち上がりの速さ

立ち上がりの速さは、会社の規模より、候補を出すまでの段取りで決まる面が大きいでしょう。どの形でも、候補が出るまで何日か、参画が始まるまで何日か、最近の実例でどれくらいの幅があったかを聞けば、同じ物差しで比べられます。すでにプロジェクトが炎上していて今週にも手を入れたいなら、比べるより先に初動を決めることになります。その考え方はプロジェクト炎上の立て直し——社内の人間だけでは火を消せない3つの構造と、発注者が選ぶ初動に譲ります。

抜けるときの扱い

後任を手配するのは、大手ファームと人材型なら受注した会社、個人と直接なら自社です。直接結んだ個人との6か月以上の委託を終えるときや更新しないときは、災害など厚生労働省令で定める場合を除き、30日前までに予告が要ります(フリーランス法16条)。更新を重ねて6か月以上になった委託も含まれます(同法13条、同施行令3条)。

どの形でも、抜けたあとに残したい課題管理表、議事録、会議の運営手順は物の名前で成果物に書き、受け取る側でも引き継ぐ担当者を最初に決めておきます。

合う形は、任せる範囲と、社内で誰が受け止めるかで変わります。高い、若手が来た、何も残らなかったという前回の不満が、この表のどこから来ていたのかを、当時の見積と契約書で確かめてください。

第3章 契約の形で、払う対象と指示の通り道が変わる

大手ファームでも人材型でも、結ぶ契約の形で変わるものがあります。調達や法務から、準委任(民法656条)か請負かを聞かれたときに備えて、何に払うか、来た人に誰が指示を出すか、途中で終えるときの解除と精算、再委託の4点で違いを表にしました。後ろの2つは、第5章で確かめる9項目の7と5にも入れています。

契約の形

何に払うか

来た人に指示を出すのは

途中で終えるとき

再委託

準委任(時間に払う・履行割合型)

行った事務に払う。期間で決めた報酬は、その期間が過ぎてから(民法648条2項)

受注側の責任者。発注側は責任者に注文する

どちらからでも解除できる。相手に不利な時期なら、やむを得ない事由がない限り損害を賠償する(651条)。それまでの履行の割合で払う(648条3項)

発注側の許諾か、やむを得ない事由が要る(644条の2)

準委任(成果に払う・成果完成型)

引渡しが要る成果なら、その引渡しと同時に払う(648条の2第1項)

受注側の責任者

解除は上と同じ。途中で終わっても、分けられる部分は利益の割合で払う(648条の2第2項、634条)

上と同じ(644条の2)

請負

仕事の完成に払う(632条)

受注側の責任者

完成前なら、発注側は損害を賠償して解除できる(641条)。分けられる部分は利益の割合で払う(634条)

民法上の制限はない。契約で決める

派遣

派遣元との契約で決めた料金

自社(派遣先)が指揮命令する

派遣契約の定めによる。自社の都合で解除するときは、新たな就業機会の確保や休業手当の費用負担など、派遣労働者の雇用の安定のための措置を講じる義務があり(労働者派遣法29条の2)、その内容は契約にも定める(26条1項8号)

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準委任と請負の分かれ目

PMOや業務の整理のように完成の形を先に決めにくい仕事は、準委任になじみます。仕上がりを先に書ける要件定義書なら請負も選べますが、PMOを無理に請負にすると、何をもって完成とするかを決めきれないでしょう。準委任で受注側に問えるのは、完成ではなく、善良な管理者の注意をもって事務を処理したか(民法644条)と、求めに応じた報告と終了後の経過・結果の報告(645条)です。

指示の扱いは、準委任でも請負と同じ

厚生労働省は、労働者派遣と請負を分ける基準(昭和61年労働省告示第37号。以下37号告示)について、疑義応答集を第1集から第3集まで出しています。そこでは、請負には委任と準委任を含むとしたうえで、業務の進め方の指示は受注側が自ら行う必要があるとしています(第2集問1)。人の配置を決めたり変えたりするのも受注側の仕事です(37号告示2条1号ハ)。来た人に進め方や時間を直接指示する前提なら、派遣か、自社で雇う形を選びます。

派遣は指示を出せるが、人を特定しないよう努める

派遣は、派遣元が雇う人が、派遣先の指揮命令を受けて働く形です(労働者派遣法2条1号)。指揮命令を自社で出せる代わりに、来る人を決めるのは派遣元で、派遣先は紹介予定派遣を除き、来る人を特定する行為をしないよう努めることになっています(26条6項)。許可のない派遣元から受け入れることは禁じられているので(24条の2)、相手が許可を受けているかも確かめます。

受入れの期間には制限があり、事業所ごとに原則3年(延長の手続きあり)、同じ人は同じ課などで3年までです。無期雇用の派遣労働者などは、この制限の対象外です(40条の2・40条の3)。何年も続く役割を派遣で埋めるなら、この期間の管理が要ります。

個人と直接結ぶときのフリーランス法の義務

個人の専門家と直接結ぶ場合、相手が従業員を使わない個人か、代表者1人のほかに役員も従業員もいない会社なら、フリーランス法の対象になります(同法2条1項)。発注側は、業務の内容、報酬の額、支払期日などを、直ちに書面かメールなどで示します(3条)。支払期日は、役務の提供を受けた日から60日以内で、できる限り短く定めます(4条1項)。

1か月以上の委託では、更新して1か月以上になるものも含めて、次のことなどが禁じられます(5条1項2号・4号、2項2号、同施行令1条)。

  • 相手に落ち度がないのに報酬を減らすこと
  • 相場より著しく低い報酬を不当に決めること
  • 相手に落ち度がないのに内容を変えさせたり、やり直させたりして、相手の利益を不当に害すること

人材型で支援会社が個人に再委託している場合、こうした義務を負うのは、個人と契約した支援会社です。

第4章 指示の線は、来る人の立場で分かれる

準委任や請負で受け入れたとき、来た人にどこまで話しかけてよいのかは、現場でいちばん迷うところです。線の引き方は、来る人の立場で2つに分かれます。受注会社(その再委託先の会社を含みます)に雇われた人なら偽装請負の問題、そのどちらにも雇われていない個人なら、労働者として扱われるかどうか、という労働者性の問題です(厚生労働省・都道府県労働局「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」2ページ)。労働者性は、労働基準法研究会が昭和60年に出した判断基準の報告(以下、昭和60年報告)に沿って見ます。

次の表は、受け入れる部署に配るルールの下書きです。根拠に第3集とある行には、厚生労働省がシステム開発を例に答えた内容も入れています。

場面

受注会社の社員が来るとき(偽装請負の線)

個人が来るとき(直接・再委託とも。労働者性の線)

根拠

人を決める

個人を特定しないスキルシートや、保安のための氏名の提出は直ちに問題とされない。経歴書や面談は派遣と判断されることがあり、指名や拒否は配置への関与と判断される

再委託の個人なら、受注会社に雇われていなければ派遣法の問題にはならない。直接・再委託とも、選考を正社員の採用とほとんど同じ手順にすると、労働者と判断する補強の事情になりうる

第2集問12・問13、第3集Q7、ガイド2ページ、昭和60年報告

打合せ

責任者の判断での同席は直ちに問題とされない。その場で作業の順序や割り振りを細かく指示したり、方針の変更を日常的に伝えたりすると派遣と判断される

対等な立場の打合せは問題にならない。進め方を細かく命じる場にしない

第2集問9、第3集Q2・Q6、昭和60年報告

メール・チャット・管理ツール

責任者の了解のもとでccに入れるだけなら直ちに問題とされない。細かな指示を書いたり、直接の返信を求めたりしない

直接結んだ個人なら、何を、いつまでに、という依頼は本人に出してよい。再委託の個人への依頼の窓口は契約で決めた責任者。通常の注文者が行う程度を超える指示を続けない

第2集問10、第3集Q6、昭和60年報告

割り振りと進め方

責任者に注文し、割り振りは受注側が決める

内容と進め方を具体的に命じると、指揮監督の基本的な要素になる

37号告示2条1号イ、昭和60年報告

時間

始業・終業・残業の指示や管理は受注側が行う。単に把握するだけなら別

勤務の場所と時間を指定して管理すると、指揮監督の基本的な要素になる

37号告示2条1号ロ、昭和60年報告

1人だけ来る

本人は責任者を兼ねられない。別の責任者が指示・管理・交渉を担う

直接結んだ個人なら本人への注文になる。再委託の個人なら窓口は受注側の責任者。上の各行の線を守る

第2集問8、第1集4

人を決める場面

受注会社の社員が来る場合、発注側が人選に関われる幅は3段階です。個人を特定できないスキルシートや保安のための氏名の提出は直ちに問題とはされず(第3集Q7、第2集問12)、職務経歴書や事前の面談は配置の決定に影響するため派遣や労働者供給と判断されることがあり(第2集問13)、その結果での指名や就業の拒否は配置への関与と判断されます(同問13)。言い方は、この順に強くなります。

受注会社が再委託した個人なら、受注会社との間に雇用関係がない限り労働者派遣法の問題にはならず、問われるのは来てからの働かせ方です。実態として労働者性があり、発注側の指揮命令を受けていれば偽装請負になります(同ガイド2ページ)。

個人と直接結ぶなら、人は自分で選べます。ただし、選考の手順を正社員の採用とほとんど同じにしたことを、労働者と判断する補強の事情とした裁判例があります(昭和60年報告)。

会社を通して受け入れる場合は、体制表に人の指名の代わりに役割と求める水準を書き、変える前に知らせてもらう約束を入れます。若手が来たという不満への手当ては、指名ではなくここで行います。水準は、例えば「同じ規模の基幹システム刷新でPMOの責任者を務めた経験が1件以上」「業務の整理の成果物を自分で作った経験」のように、経験の中身と件数で書きます。年次や肩書で書いても、求める人が来るとは限りません。

打合せとチャット

システム開発について厚生労働省は、会議やメール、チャット、プロジェクト管理ツールのどれを通じても、発注側が直接、業務の進め方や労働時間を指示すれば偽装請負になるとしています。対等な立場で情報を共有し、来た人が自分で判断して進めているなら偽装請負ではない、とも答えています(いずれも第3集Q2・Q6)。

PMOや業務の整理でも、準委任や請負なら、こちらから出すのは「何を、いつまでに、どれを優先してほしいか」までです。受注会社の社員なら、それも責任者を通します。必要な範囲の情報提供や問い合わせへの回答に限られるなら、本人と直接やり取りしても、それ自体は指揮命令に当たるとは言えないとされています(第2集問1)。日々の順序や進め方は、来た人が自分で決めて動く形です。経験の浅い人が来ると、こちらが進め方を教える側に回り、線を越えやすくなります。体制表に水準を書く理由は、ここにもあります。

自社が直接結んだ個人なら、この依頼は本人に出して構いません。受注会社が再委託した個人なら、線は同じ労働者性でも、契約の相手は受注会社なので、依頼の窓口はその責任者です。通常の注文者が行う程度の指示にとどまるなら、指揮監督を受けているとは言えないとされています(昭和60年報告)。避けたいのは、内容と進め方を具体的に命じ続けることと、勤務の場所と時間を決めて管理することです。業務の性質や安全のために場所や時間が決まることもあり、その指定が指揮命令のためかどうかで見極めます(同報告)。

1人だけ、月額で来てもらうとき

受注会社の社員が1人で来るなら、本人は受注側の責任者を兼ねられず、別の責任者が作業の指示、本人の管理、発注側との注文の交渉を担います(第2集問8)。1人の作業者が兼ねていると、発注側からの注文が、そのまま本人への指揮命令になってしまうからです(第1集4)。その責任者が指示や管理を的確に行っていれば、多くの場合、現場に常駐していないことだけで直ちに派遣とはされません(第2集問8)。

月額や時間単価という払い方も、それだけを理由に問題にはなりません。完成品を引き渡す形ではない業務では、人数や時間に比例した料金に合理的な理由がある場合もあり、受注側が人の配置を決めて独立して処理していれば、料金の形だけで直ちに派遣とは判断されません(第2集問7)。他方、仕事ではなく人数を取引し、投入した人の単価で精算しているなら、単なる労働力の提供とされます(第1集8)。37号告示のいう専門的な技術や経験も、個々の人ではなく、事業主が企業体として持つものです(同ガイド6ページ)。受注側が会社として進め方の型や品質の確認を持ち込んでいるかを確かめるのは、このためです。

個人と直接結ぶ場合は、別の見方も加わります。時間を単位に計算する報酬は、労働者と判断する補強の事情の一つとされています(昭和60年報告)。この一点で労働者と決まるのではないものの、時間で払うなら、表の線を守る意味はなおさら大きくなります。

線を越えたら、発注側が負うもの

受注会社の社員に発注側が直接指揮命令していれば、契約が準委任でも、実態は派遣です。契約の形式ではなく実態で判断されます(第3集Q1)。法律の適用を免れる目的で、請負などの名目で契約し、派遣契約で定めるべき事項を定めないまま派遣の役務を受けると、発注側はその人に、その時点と同じ労働条件で労働契約を申し込んだものとみなされます(労働者派遣法40条の6第1項5号)。発注側が該当すると知らず、知らなかったことに過失もなければ適用されませんが(同項ただし書)、みなされた申込みは、その行為が終わった日から1年間は撤回できません(同条2項)。本人がその間に承諾すれば、受注会社での労働条件のまま、その人を自社が直接雇うことになります。

個人が来ている場合は、実態として労働者と判断されれば、その人に労働基準法などが適用されます(労働基準法9条)。再委託された個人なら、そのうえで発注側の指揮命令があれば偽装請負です(同ガイド2ページ)。自社が直接結んだ個人なら、間に受注会社がいないので派遣の形にはならず、自社がその人を使う側として、労働時間や賃金についての労働基準法などの義務を負います。

第5章 見積と契約書で確かめる9項目

見積を受け取ったとき、契約書の案が届いたときに、次の9項目を確かめます。秘密保持や損害賠償のように、どの業務委託の契約にもある条項は法務の標準の確認に任せ、ここには、外部の人を受け入れる契約で中身が決まらないまま進みやすいものだけを並べました。

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確かめること

抜けていると困ること

根拠

1

支払いの対象(稼働か、成果か、完成か)

報告書が出たので終わりという受け止めと、まだ途中という受け止めが食い違う

民法648条・648条の2・632条

2

体制表(役割・求める水準・稼働率。変える前に知らせるか)

提案の顔ぶれと来た人が違っても、契約上は何も言えない

人の指名は避ける(第2集問13、第3集Q7)

3

受注側の責任者(誰が指示・管理・交渉を担うか。1人だけ来る場合は本人以外の誰か。進め方の型や品質の確認を会社として持ち込むか)

責任者がいないと、自社の担当者の依頼がそのまま指示になる

37号告示2条、第2集問8、ガイド6ページ

4

精算の形(月額や時間単価が何に対する対価か。月額なら基準の稼働時間と、超過・不足の精算、稼働の報告の形)

人数と単価だけの取引は、単なる労働力の提供とみられるおそれがある。個人に時間で払う場合は、労働者と判断する補強の事情の一つになりうる

第1集8、第2集問7、昭和60年報告

5

再委託(するか、誰に、承諾の取り方)

知らない会社や個人が入っている。秘密保持の義務が再委託先に及ばない

民法644条の2

6

交代(誰が判断するか、後任までの日数、引継ぎ期間の費用)

合わない人が続く。後任の立ち上がりを自社が負担する

契約で決める

7

途中で縮める・終えるとき(人数や稼働率を減らす予告期間、終えるときの予告期間、精算の方法)

予算の見直しで減らしたい、止めたいときに揉める

民法651条・648条3項、フリーランス法16条。縮め方は契約で決める

8

成果物と引継ぎ(範囲、形式、検収。課題管理表・議事録・会議の運営手順を含めるか。終える前に社内の担当者へ引き継ぐ期間)

抜けたあと、報告書とスライドしか手元にない

契約で決める

9

著作権(27条・28条の権利まで移すか。著作者人格権を行使しない定め。再委託先の個人の権利を受注側が取り付けているか。受注側の既存のひな形は利用の許諾か)

社内で手直しして使えない。個人に権利が残る

著作権法2条1項2号・15条・17条1項・59条・61条2項

体制と責任者

3の責任者は、1人だけ来てもらう場合ほど重みが増します。誰が、どれくらいの頻度で、何をしているのかを聞き、答えが曖昧なら、会社としての管理を持ち込んでいない相手かもしれません。

交代と、途中で縮める・終えるとき

6の交代には民法の定めがないので、表の3点は契約に書かなければ決まりません。受注会社の社員が来る場合、特定の人を外すよう発注側が求めると、配置の決定や変更への関与と判断されるおそれがあります(第2集問13、第3集Q7)。契約には「役割と求める水準を満たさないときは、受注側が是正(交代を含む)を自ら決めて行う」と書き、発注側から求めるのは水準の是正にとどめます。

7は、縮めるときも終えるときも、予告の期間と精算を契約に書きます。準委任はどちらからでも解除できる一方、相手に不利な時期の解除には、やむを得ない事由がない限り損害の賠償がつくからです(民法651条)。

成果物と権利の条項の文例

8は、物の名前に加えて、形式と検収の方法、終える前に社内の担当者が自分で回す期間まで書きます。

9の著作権は、まず作った人に生まれます(著作権法2条1項2号・17条1項)。受注会社の社員が職務として作ったものは、条件を満たせば会社が著作者になります(15条)。一方、再委託された個人が作ったものは、受注会社が権利を取り付けていなければ個人に残ります。翻案や二次的著作物の利用にかかわる権利(27条・28条)は、譲渡の契約で特に書いておかないと、譲った側に残ると推定されます(61条2項)。著作者人格権は譲渡できないので(59条)、行使しない約束を入れます。

受注側が前から持っているひな形や進め方の型が成果物に含まれるときは、その部分まで譲渡を求めるのではなく、自社で使い続けるための利用の許諾を受ける形にします。どこまでが今回の成果物で、どこからが受注側の既存のものかは、契約の前に分けてもらいます。

条項の文例を2つ挙げます。甲は発注側、乙は受注側です。法務と詰める際のたたき台にしてください。

  • 乙は、甲の事前の書面による承諾なく、本業務の全部又は一部を第三者に委託しない。承諾を求めるときは、再委託先の名称と本業務で担う役割を甲に書面で示す。乙は、再委託先に本契約に基づく乙の義務と同等の義務(秘密保持を含む。)を負わせ、再委託先の行為について甲に対し自ら責任を負う。
  • 本業務の成果物の著作権(著作権法第27条及び第28条に定める権利を含む。以下同じ。)は、委託料の支払時に乙から甲へ移転する。ただし、成果物のうち乙が本業務の開始前から有していた著作物(ひな形、手順書を含む。)の著作権は乙に留保し、乙は甲に対し、甲が成果物を利用(複製及び翻案を含む。)するために必要な範囲で、本業務の終了後も無償で利用を許諾する。乙は、甲に対して著作者人格権を行使せず、本業務に従事する者及び再委託先にも行使させない。再委託先が作成した成果物の著作権は、乙が再委託先から譲り受けたうえで甲に移転する。

9項目のうち、手元の見積や契約書の案に答えが見えないものが多いなら、比べる土台がまだ揃っていません。

第6章 外部コンサル人材の選び方と、稟議書の書き方

選ぶための問い

次の問いを順に立てます。

  1. 来た人に、日々の進め方や時間を自分たちで指示したいか。はいなら、許可を受けた派遣元からの派遣か、採用・異動で埋めます。
  2. 人を自分で選びたいか。はいなら、個人と直接結びます。社内の規程が個人との契約を認めているかは先に確かめます。探す・入れ替える手間とフリーランス法の義務は自社が持ちます。会社を通すなら、指名の代わりに役割と水準を体制表で決めます。
  3. どこまでの範囲を任せるか。複数の領域にまたがる変革を体制ごと1社に任せたいなら大手ファーム、1〜数名の役割を埋め、人選と交代の手配も会社に任せたいなら人材型が合います。

人材型を選ばないほうがよい場面

人材型を選ばないのは、問1で派遣か採用・異動、問2で個人と直接、問3で大手ファームに分かれた場合と、何年も続く中核の機能で社内に担い手を育てたい場合です。後者は採用や異動を軸にし、外部の人は立ち上げの支えにとどめます。

PMOが形だけになっている原因が社内の構造にあるなら、人を入れる前に構造を直すほうがよいでしょう。見分け方はPMOが形骸化するのは担当者のせいではない——機能不全に陥る3つの構造要因と、立て直しの3つの選択肢に、置く前に決めることはPMOを置く前に決める3つのこと——プロジェクトが同時に遅れる会社が、先に整える順序に書きました。

稟議書の選定理由欄の文例

選定理由は選ぶ形の1行だけ残し、〇は案件ごとに書き換えてください。

稟議書の項目

書き方の例

比較した方式

大手コンサルティングファーム、個人の専門家との直接契約、人材型の支援会社(役割に合う人を選び、会社として業務を受ける形)の3方式を、費用の構造、来る人の決まり方、立ち上がり、抜けるときの扱いで比べた(別表)

選定理由(人材型)

本件はPMOと業務整理の役割を〇名で埋めることが目的であり、体制ごとの支援と方法論への対価は要しない。人選と交代の手配は受注側が担う形とするため、個人との直接契約ではなく人材型が最も合う

選定理由(大手ファーム)

本件は複数の領域にまたがる変革であり、方法論と品質の確認を含めて、体制ごと1社に任せる必要がある

選定理由(個人と直接)

本件は〇〇の専門性を持つ本人に続けて担ってもらう必要があり、探す手間と契約上の義務は当社が負う

相見積

2方式以上から計〇社の見積を取り、体制、稼働率、単価の根拠を比べた(取らない場合はその理由を一文で。例えば、開始日までの期間が短く、条件を満たす提案が1社に限られたため)

費用と期間

月額〇円(〇名・稼働率〇%)×〇か月、上限〇円。精算は月ごとの稼働実績による

契約の形

準委任契約(稼働に応じた支払い)。来る人が受注側の社員か業務委託の個人かを契約前に確かめる。依頼は受注側の責任者を通し、当社から参画者へ直接の指示はしない。再委託は当社の事前の書面承諾制とする

体制と交代

役割、求める水準、稼働率を体制表で定める。変更と交代は受注側が事前に知らせ、引継ぎ期間の費用の負担を契約に定める

成果物と権利

課題管理表、議事録、会議の運営手順を成果物とし、著作権(27条・28条の権利を含む)は委託料の支払時に当社へ移る。受注側が従前から持つひな形は利用の許諾を受ける

社内の受け入れ体制

受注側への依頼の窓口は〇〇部〇〇に一本化し、指示の線を書いたルールを受け入れる部署に配る。受注側の責任者との定例は月〇回。課題管理表と会議の運営は〇〇が引き継ぐ(終了の〇か月前から主担当)

見直しの時期

開始〇か月後に、課題管理表と会議の運営を社内の担当者が回せているか、役割ごとの稼働実績が体制表どおりかを見て、続けるか、縮めるか、終えるかを決める。縮める・終えるときの予告と精算は契約の定めによる

個人と直接結ぶ場合は、契約の形の欄を、依頼は業務の内容と期限の注文にとどめる、と書き替え、第3章のフリーランス法の明示事項(3条)と支払期日(4条1項)を足します。

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meherには、すぐに参画できる専門人材が1,500名います。開始は最短1週間からです。支援の実績は100件を超えました。ご相談の際は、候補が出るまでと参画までの日数の幅、参画する人が当社の社員か業務委託の個人かを含め、第5章の9項目にお答えしますので、ほかの会社の答えと並べて比べてください。

まとめ

外部コンサル人材を比べるときは、会社の看板より先に、何に払うか、来る人を誰が決めるか、抜けたら誰が埋めるかを見ます。

そのうえで、派遣でない限り、来た人に進め方や時間を直接指示しない形で受け入れます。受注会社の社員なら指名で人を選ばず、個人なら注文の範囲を超えて働かせ方に踏み込みません。そのぶん、役割と水準、交代の扱い、引き渡してもらう課題管理表や議事録を、契約に書いておきます。

稟議の起案は、手元の見積を第5章の9項目に当ててからにしてください。答えが書かれていない項目が、次の打合せで最初に聞くことです。社内で決まらないまま残るものは、そのままご相談ください。


出典

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